金属触媒 

化学品試験管の写真

金属触媒はポリウレタンフォーム(PUF)においてイソシアネートとポリオールの反応促進に必要な添加物です。添加量は僅かでも金属触媒無しでは十分に硬化することはできません。触媒能を有する金属は重金属類が多く環境負荷が懸念されるところですが、アミン触媒よりも高い活性を有するため、金属触媒は今後も使用量が増えていく見込みです。近年では環境負荷の低い触媒が開発されるほか、VOCの面ではアミン触媒より優れている面もあります。

目次

金属触媒の種類

金属触媒といっても利用可能な金属には様々なものがあり、鉛や錫、ビスマスなどが含まれます。珍しいものではチタンやジルコニウムも触媒となります。そして金属触媒という名称ですが、金属自体が触媒として使われるのではなく、厳密には有機金属化合物が触媒となります。例えばジブチルスズラウレート(DBTDL)が高活性の触媒として知られていますが、スズ原子にブチル基とラウリン酸が2つずつ結合した構造を有しています。金属触媒の合成法及び原料は触媒の構造によって変化しますが、基本的には金属源と有機物質の反応によって合成されています。触媒能としては錫、鉛が高い部類に入りますが、近年では環境負荷への懸念から触媒能が低くても他の金属が好まれるようになっています。このような場合、有機部の変性や触媒使用量の増量によって触媒能を確保します。

金属触媒の用途

用途割合
塗料30~40%
軟質PUF20~30%
接着剤15~20%
その他15~20%
表 国内における用途シェア推察

アミン触媒はPUFを主な用途先としている一方で、金属触媒は幅広い分野で使われています。国内市場全体では1,000~1,500Mtの市場規模の内訳では塗料が最多で軟質PUFと接着剤が続きます。ウレタン系塗料はPUFと同じくイソシアネートとポリオールの反応によって硬化するため、同じ触媒が使われることもあります。金属別では錫(55%)、鉛(30%)、ビスマス(12%)の3種がほとんどを占め、ビスマスは錫・鉛からの代替金属として近年シェアを伸ばしています。特に塗料や接着剤においては新製品の開発に合わせて触媒をビスマスに変更する動きが見られるほか、欧州では鉛・錫含有製品への規制が厳しくなっているようです。規制の面以外にも発泡剤との相性によってビスマスが好まれるようになりました。硬質PUFの発泡剤は環境負荷低減を目的にHFC系からHFO系へのシフトが進んでおり、これに伴ってビスマス触媒の使用量が増加しています。

金属触媒とアミン触媒を比較すると硬化性では金属触媒が勝り、ウレタン製品全体で0.05~0.1%のみ添加するだけで硬化を発揮します。環境負荷はアミン触媒の方が低いですが、VOCという観点のみに着目するとアミン触媒は課題が残ります。価格はいずれも高価な原料であるため、PUFメーカーはできるだけ触媒量を減らすよう組成改良に努めています。なお、硬化性の向上と性能低下を防ぐ目的で金属触媒とアミン触媒が併用されることもあります。

市場状況

金属触媒の国内の市場規模は凡そ1,000~1,500Mt程度と推察されます。主要メーカーは日東化成、堺化学工業、日本化学産業等で、日東化成が半分程度の市場シェアを握っています。

PUF産業ではシステム原液を製造するメーカーがイソシアネートやポリオール、添加剤のシェアを握る例が多く見られますが、金属触媒のシェアは無機化学工業を主とするメーカーが上位を占めます。触媒1kgあたりの価格は金属によって異なり、国内では鉛系が1000~1500円前後に対し、錫・ビスマス系は2000~3000円が相場です。ウレタンを利用するメーカーとしては安価で性能の高い鉛系を使いたいところですが、規制によって制限されているため以前のように自由に使えないのが実情です。

また世界で見ると市場規模は凡そ2万トン前後となり、市場規模が大きい順に中国>北米>欧州>日本>アジア、その他となります。中でも中国だけで3割程度を占めていると思われます。ウレタン化反応には欠かせないため、金属触媒は今後も需要が伸びると予想されます。世界人口の増加に伴う建築物及び自動車の増加によって塗料需要が伸びるうえ、同時に断熱材やクッション類も増加するためPUFの生産量も増えていくでしょう。国内や欧州では需要が既に横ばいとなっていますが、アジア新興国では年率10%のペースで伸びると予想されます。

研究開発も進められており、環境負荷低減や低価格化を目的とした代替金属の模索が主流となっています。

まとめ

金属触媒は錫・鉛・ビスマスを主とする金属類と各種有機物質の化合物であり、塗料や接着剤、PUFに使われています。これら製品の需要拡大に伴って金属触媒の需要も伸びていく見込みです。価格や環境負荷に関してアミン触媒が競合ですが、高い触媒活性にはかなわず、金属触媒のシェアが低下することはないとみられます。将来的には安価な金属種を用いた高活性触媒が開発されるかもしれません。

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